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AI面接は約20サービスが乱立、一方で中途の59.8%が「志望度が下がる」

AI面接サービスは20近くに増えパソナも参入した一方、選考にAIが使われていると分かると志望度が下がる中途求職者は59.8%。供給側と候補者側で逆を向く2つのデータを重ね、AI面接をどの工程に入れるべきかを整理します。

AI面接をめぐって、方向が逆の2つのデータが同時に出てきました。供給側ではサービスが20近くに増え、パソナグループも参入しています。一方で候補者側では、選考にAIが使われていると分かると志望度が下がる中途求職者が59.8%に達しています。この2つを重ねると、AI面接を「入れるか入れないか」ではなく「どの工程に入れるか」で判断すべき理由が見えてきます。

供給側:サービスは20近くに

日本経済新聞は、AI面接サービスが20近く乱立し、パソナグループも参入したと報じました。記事では、導入企業は「AI面接によって浮いた時間をどう採用戦略にいかすか」というフェーズに入っているとされています。

この記事は有料会員限定のため、参入企業の一覧や市場規模は確認できていません。数値を社内資料に引用する場合は原記事でのご確認をおすすめします。

直近の動きだけでも、以下のように短期間で集中しています。

時期動き
2026年7月9日AVITAが「アバトレAI面接」の提供を開始
2026年7月13日Preferred Networksの「タレスカAI面接」がHRアワード2026プロフェッショナル部門に入賞(応募377件から選出、厚生労働省後援)
2026年7月22日ヒューマネージがAI面接「TG-WEB mee」とEQ適性検査「E9」を同時提供開始
2026年7月24日TechSuiteがPeopleXと販売代理店契約を締結し、スカウト代行「AIスカウトくん」と「PeopleX AI面接」を連携
2026年8月12日X-HACKがアルバイト・パート採用向けのAI一次面接「MENREN」を提供開始

各サービスが打ち出している価値は驚くほど揃っています。24時間受検できること、日程調整の負荷を下げること、面接官による評価のばらつきを抑えることです。

AVITAの「アバトレAI面接」はURLを開くだけで受検でき(アカウント登録・アプリ不要)、対話内容をAIが分析して評価レポートを自動作成します。Preferred Networksの「タレスカAI面接」は回答に応じてAIが動的に追加質問を行い、評価の根拠をコメントで明示する点を特徴に挙げています。TechSuiteとPeopleXの提携は、母集団形成から選考までを一貫させることを狙いとしています。

機能の差別化が難しくなっているということは、選定側から見れば「どのサービスでも似たことができる」段階に入ったという意味です。

差別化が起きているのはアルバイト・パート領域

一方で、対象を絞ることで明確な差を出す動きも出ています。X-HACKが2026年8月12日に提供を開始した「MENREN」は、店舗のアルバイト・パート採用に特化しています。

  • 候補者は企業の公式LINEまたは応募用リンクから、氏名と生年月日だけで応募
  • 応募完了時点でスマートフォンからAI一次面接に進める(応募から一次面接完了まで同一日に完結)
  • 履歴書は面接後にマイページからアップロード
  • 店長は営業後のすき間時間に動画とスコアを確認するだけ

同社が挙げている背景データは、この領域の課題を端的に示しています。

項目数値
応募から1日以内の初回連絡を希望する求職者約60%(ディップ総研調査)
選考中に辞退した経験があるアルバイト応募者43.5%

アルバイト採用では、見極めの精度より連絡の速度が歩留まりを左右します。 店長が営業中に電話をかけられない、シフトの合間に日程調整ができないという構造的な制約に対して、「応募と同時に面接が終わっている」状態を作る設計です。

正社員採用でのAI面接が「工数削減と評価の標準化」を打ち出すのに対し、こちらは機会損失の防止が主眼です。同じAI面接でも、解こうとしている問題が違います。

差別化の次の軸:適性検査データとの統合

機能が横並びになるなかで、保有データを差別化要因に据える動きも出ています。ヒューマネージが2026年7月22日に提供を開始した「TG-WEB mee」は、500万人規模の適性検査データにもとづく評価ロジックとLLMを融合したAI面接です。

項目内容
仕組みAIが面接官として対話し、回答に応じて深掘り質問を行う
価格900円/名〜(ライセンス方式の場合)
出力文字起こしデータと動画、詳細コメント、申し送り事項
連携採用管理システム「i-web」とシームレス連携
位置づけAIが採否を決めるのではなく、人事担当者の意思決定を支援する

注目すべきは、同社がEU AI法を見据えた説明可能性の確保を明示している点です。本記事で挙げた「評価根拠を候補者や現場に説明できるか」という選定基準に、ベンダー側が先回りして応えた形になります。

同社は同日、EQ(感情知能)適性検査「E9」も開始しました。125万人のアセスメントデータを基盤とし、Web受検10分で「自尊」「共感」「ソーシャルスキル」と自己客観視の度合いを測定するもので、費用は2,000円/名〜です。コンプライアンス違反傾向や感情面のリスク傾向を確認できるとしています。

AI面接単体ではなく、適性検査と組み合わせて評価の妥当性を担保するという構成です。機能の打ち出しが横並びになった領域で、蓄積データの規模が次の競争軸になりつつあることを示しています。

候補者側:AIが使われていると分かると59.8%が志望度低下

一方、TalentXが社会人2年目以上の中途採用候補者221人に4月末に実施した調査では、**採用選考でAIが使われていると分かると志望度が下がる求職者は59.8%**でした。理由として、入社への熱意が伝わりづらくなることへの懸念が挙げられています。

こちらも有料会員限定記事のため、理由の詳細な内訳は確認できていません。また対象者221人と母数が小さいため、傾向の把握に用いるのが適切です。

供給側が「効率化できます」と打ち出す一方で、候補者側の6割が引いている。この構図をどう解釈するかが実務上の分岐点になります。

数字の読み方:抵抗しているのは「AI」ではない

ここで重要なのが、レバレジーズが直近3年以内に転職活動を経験した515名(実査はマクロミル、2026年6月5〜8日)に実施した別の調査です。面接の段階別に聞くと、受け止めが逆転します。

対象ポジティブネガティブ
1次面接のAI化29.7%18.2%
最終面接のAI化18.2%33.0%

1次面接のAI化ではポジティブがネガティブを11.5ポイント上回ります。ところが最終面接では完全に反転し、ネガティブが33.0%と最も高くなります。

つまり、候補者が拒否しているのは**AIそのものではなく「意思決定の場にAIが入ること」**です。

  • 1次面接:候補者にとっては「通過するための手続き」。24時間受検できるほうが都合がよい
  • 最終面接:候補者にとっては「相互に見極める場」。ここに人が出てこないと、選ばれた実感も入社の納得感も得られない

TalentXの59.8%とレバレジーズの数字は矛盾しません。「選考にAIが使われている」と大きく括れば志望度は下がるが、工程を限定すれば1次面接のAI化は受け入れられていると読むのが妥当です。

候補者が本当に困っているのは日程

同じレバレジーズの調査には、導入判断に直結する数字があります。

  • 転職活動に苦労を感じた人:82.3%(「非常にある」39.6%+「ややある」42.7%)
  • 在職中に転職活動を行った人:78.6%
  • 面接日程が合わずに選考を辞退した人:29.9%
  • 面接内容や面接官の対応を理由に辞退を検討した人:46.1%

8割が在職中に転職活動をしており、約3割が日程が合わないだけで辞退している。 これはAI面接の効果を測る最も現実的な指標です。

なお、AI面接の受験経験者はまだ7.8%にとどまります(転職活動でのAI利用経験者は28.5%)。候補者の多くはAI面接を「体験したことがないもの」として評価しているという前提も押さえておく必要があります。

企業側の工数構造とも一致する

採用担当者側のデータを重ねると、日程がボトルネックであることは裏からも確認できます。ゼクウの「見えない工数」調査(採用担当者・人事責任者1,002名)では、工程別の所要時間(中央値)は日程調整14分、選考が滞る要因としても日程調整が37.3%で第2位でした。

候補者側は「日程が合わず辞退」29.9%、企業側は「日程調整が滞留要因」37.3%。 双方が同じ工程で損をしています。AI面接が最初に効くのはここです。

導入判断の指針

以上を踏まえると、判断の順序は次のようになります。

1. まず1次面接に限定して入れる

候補者側の受け止めがポジティブに振れており(29.7%対18.2%)、日程調整の削減効果も最大です。ここから始めるのがリスクが最も低い。

2. 最終面接は人が出る

ネガティブが33.0%と最も高い工程です。ここを自動化すると、内定承諾率と入社後の納得感の両方に効いてきます。工数削減の対象にしてはいけない工程と割り切るのが安全です。

3. AIを使っていることを隠さない

59.8%が志望度を下げるのは「分かったとき」です。事前に伝えずに受検させると、不信感が加わって影響が大きくなります。**「1次はAI面接。24時間いつでも受けられます。二次以降は当社の社員が面接します」**と最初に開示するほうが、候補者の利便性として受け取られます。

4. 効果測定は「工数削減」ではなく「辞退率」で見る

導入目的を工数削減に置くと、候補者体験の劣化に気づけません。日程調整由来の辞退率を導入前後で比較するのが、最も実態に合った指標です。

5. 評価根拠の説明可能性を確認する

各社が「評価のばらつき抑制」を打ち出していますが、根拠を提示できるかは製品差があります。Preferred Networksが評価根拠のコメント明示を特徴に挙げているように、なぜその評価になったかを候補者や現場に説明できるかは、選定時の確認項目に入れるべきです。不合格理由を説明できないブラックボックスは、後々のトラブルの種になります。

隣接領域:AIは配属にも入りはじめた

選考以外でも動きがあります。オリックス生命は、AIで配属先との相性を分析する取り組みを進めていると報じられました(日本経済新聞、有料会員限定のため詳細は未確認)。

選考でのAI活用が「合否の判断」に関わるのに対し、配属でのAI活用は「入社後の定着」に関わります。AIの適用先が、採るところから定着させるところへ広がりはじめているという流れとして押さえておくとよいでしょう。

まとめ

  • AI面接サービスは20近くに増え、機能の打ち出し(24時間受検・日程削減・評価の標準化)はほぼ横並びになった
  • 「選考にAIが使われている」と分かると中途求職者の59.8%が志望度を下げる
  • ただし工程別に見ると1次面接のAI化はポジティブ29.7%がネガティブ18.2%を上回り、最終面接では逆転する(ネガティブ33.0%)
  • 抵抗されているのはAIそのものではなく「意思決定の場にAIが入ること」
  • 候補者の29.9%が日程が合わずに辞退、企業側も日程調整が滞留要因の37.3%。双方が損をしている工程がAI面接の適用先
  • 導入は1次面接に限定し、最終面接は人が出る。AI利用は事前に開示する。効果は工数ではなく辞退率で測る

選考フロー全体をどう組み替えるかは、採用管理システムの選定と一体で考える必要があります。

出典・参考資料

  1. AI面接サービスが約20に乱立、パソナも参入 (日本経済新聞)
  2. 中途の6割が「AI選考で志望度低下」 (日本経済新聞(TalentX調査))
  3. 中途の転職事情とAI面接に関する意識調査 (日本の人事部(レバレジーズ調査))
  4. AVITA、「アバトレAI面接」の提供を開始 (AVITA)
  5. 「タレスカAI面接」がHRアワード2026 プロフェッショナル部門に入賞 (Preferred Networks)
  6. TechSuite、PeopleXと販売代理店契約を締結 (TechSuite)
  7. 採用業務の「見えない工数」実態調査2026 (日本の人事部(ゼクウ調査))
  8. X-HACK、アルバイト・パート採用向けAI一次面接「MENREN」を提供開始 (X-HACK)
  9. ヒューマネージ、AI面接「TG-WEB mee」提供開始 (日本の人事部(ヒューマネージ))
  10. ヒューマネージ、EQ適性検査「E9」提供開始 (日本の人事部(ヒューマネージ))

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