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介護派遣という選択|直接雇用への転換率60.6%が示すもの

介護派遣から直接雇用へ移った約900人のうち、60.6%が1年未満で転換し、転換後の半年継続率は85.3%でした。「派遣は不利」という前提をデータで検証し、派遣・紹介予定派遣・直接応募の使い分けを整理します。

「派遣は不安定だから正社員を目指すべき」という助言は、介護では必ずしも当てはまりません。**派遣から直接雇用へ移った人の60.6%が1年未満で転換し、転換後の半年継続率は85.3%**というデータがあります。この数字が何を意味するかを整理します。

データの前提

ネオキャリアが2026年8月19日に発表した調査です。介護派遣サービス「ナイス!介護」で、2024年1月〜2025年12月に派遣として就業を開始し、その後直接雇用へ転換した約900人を分析したものです。

注意:この調査の対象は「直接雇用に転換した人」です。派遣で働き始めた人全体のうち何%が転換したかを示すものではありません。転換した人がどう転換したかを示すデータとして読んでください。

転換は思ったより早い

項目数値
1年未満で転換60.6%
3か月未満で転換24.7%(最多区分)
平均就業期間474日(約1年3か月)
2年以上経ってから転換21.6%

最多区分が3か月未満という点が重要です。長く働いて信頼を積み上げてから、という経路だけではありません。

年代別の内訳は50代28.0%、40代23.9%、20〜30代28.0%、60代以上20.2%と、幅広く分布しています。特定の年代に偏った仕組みではないことが分かります。

転換後の継続率が85.3%である理由

最も注目すべき数字がこれです。

直接雇用後、半年間の就業継続率85.3%(602人対象)

通常の中途採用では、この水準は簡単には出ません。採用ミスマッチに関する調査では、採用担当経験者の80.0%がミスマッチを経験し、気づく時期は**入社直後(1か月以内)が43.8%、試用期間中(3か月以内)が27.5%**でした。3か月以内に71.3%が判明しています。

つまり通常の採用では、入社してから「違った」と分かる構造になっています。

派遣経由はここが違います。採用を決める時点で、双方がすでに実際の就業を経験しています。

通常の採用派遣経由
施設が見ているもの面接での受け答え、書類実際の働きぶり、他スタッフとの相性
本人が見ているもの求人票、見学、面接での説明職場環境、業務量、人間関係、実際のシフト
ミスマッチの判明時期入社後(71.3%が3か月以内)就業中(採用前)

**面接で推定していたことを、就業実績で確認している。**継続率85.3%は、その結果です。

求職者側から見た利点

1. 求人票と現実の差を事前に確認できる

介護の定着課題では、「仕事内容と期待のミスマッチ」が**56.9%**で最大の要因です。求人票からは読み取れない部分が原因になります。

派遣で働けば、次のことが入職前に分かります。

  • 実際の人員配置(求人票の「余裕ある人員体制」が本当か)
  • 記録業務の量と方法(紙かシステムか、勤務時間内に終わるか)
  • 夜勤の実態(仮眠が取れるか、緊急対応の頻度)
  • 教える体制(担当者が固定か、その日の勤務者任せか)

2. 教育体制の実態が分かる

定着課題の要因では「教え方の統一が欠けている」が**42.2%**を占めます。これは見学や面接では判別しにくい項目です。

実際に数週間働けば、教え方が統一されているかは体感できます。

3. 断りやすい

面接を受けて内定を辞退するのと、派遣期間の終了時に更新しないのとでは、心理的な負担が違います。合わなかった場合に抜けやすい構造は、選択肢を広く持つうえで有利に働きます。

派遣・紹介予定派遣・直接応募の違い

介護では3つの入り方があります。それぞれ性質が違います。

派遣紹介予定派遣直接応募
雇用主派遣会社派遣期間中は派遣会社施設
直接雇用の前提なし(結果的に転換することはある)あり(最長6か月の派遣後に判断)最初から直接雇用
職場を事前に体験できるできるできない(見学のみ)
断りやすさ高い中(双方の合意が前提)低い
時給・給与時給制。直接雇用より高いことが多い時給制施設の給与規定

紹介予定派遣は「試用期間を先に置く」仕組みと考えると分かりやすくなります。派遣期間は最長6か月で、その後に双方が合意すれば直接雇用に移ります。

「いずれ正社員になりたいが、職場を見てから決めたい」なら紹介予定派遣が最も設計に合っています。一方、当面は時間や勤務地の自由度を優先したいなら通常の派遣です。

派遣を選ぶ前に知っておくこと

利点だけではありません。事前に把握しておくべき点があります。

期間の制限がある

労働者派遣法により、同一の事業所での派遣受け入れは原則3年、同一の組織単位(課など)での同一人物の派遣も原則3年が上限です。無期限に同じ職場で派遣として働き続けることはできません。

**これは「いずれ判断を迫られる」ことを意味します。**転換を前提に考えるなら、むしろ設計に沿った制度です。

賞与・退職金の扱いが異なる

派遣は時給が直接雇用より高く設定されることが多い一方、賞与や退職金の扱いは派遣会社の制度によります。年収ベースでの比較が必要です。

介護職の提示年収の中央値は329万円(正社員求人が96.1%を占める市場での数値)です。派遣の時給から年収換算し、この水準と比較してください。

キャリアの説明が必要になる場面がある

派遣経験が長い場合、後の転職で経緯の説明を求められることがあります。「職場を見極めるために派遣を選び、条件が合ったので直接雇用に移った」という説明ができる状態にしておくと、経歴として一貫します。

転換を狙う場合の進め方

  1. 最初に伝えておく — 派遣会社の担当者に「直接雇用への転換を視野に入れている」と明示します。紹介予定派遣の求人を優先的に紹介してもらえる可能性があります
  2. 転換の実績を聞く — その施設で過去に派遣からの直接雇用があったかを確認します。実績がない施設では、制度上できても運用されていないことがあります
  3. 3か月を目安に判断する — 転換の最多区分は3か月未満です。長く働けば有利になるとは限りません
  4. 条件を先に確認する — 転換後の給与・雇用形態・勤務条件を、転換の話が出る前に把握しておきます

まとめ

  • 介護派遣から直接雇用へ転換した約900人のうち、60.6%が1年未満、24.7%が3か月未満で転換している
  • **転換後の半年継続率は85.3%。**採用を決める時点で双方が就業を経験しているため
  • 通常の採用ではミスマッチの71.3%が入社3か月以内に判明する。派遣経由はこれを採用前に済ませている
  • 求人票では分からない人員配置・記録業務・夜勤の実態・教える体制を、事前に確認できる
  • 紹介予定派遣は「試用期間を先に置く」仕組み。最長6か月で双方が判断する
  • 同一事業所での派遣受け入れは原則3年。いずれ判断を迫られる制度設計
  • 派遣は時給が高い一方、賞与・退職金の扱いが異なる。年収中央値329万円と比較する
  • 転換を狙うなら、担当者に意向を伝え、その施設の転換実績を確認する

出典・参考資料

  1. 介護派遣から直接雇用への転換に関する調査 (ネオキャリア)
  2. 介護職の採用市場レポート (エッセンシャルワーカー採用研究所(プレックス))
  3. 新入社員育成・定着課題調査2026 (日本の人事部(アイ・ラーニング調査))
  4. 採用ミスマッチに関する調査 (NEXER Group/プレイス&アビリティ)

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