「転職は3月と9月が動く」とよく言われます。実際のデータを見ると、**求人が増える時期と、競合が少ない時期は一致しません。**どちらを取るかで、動くべき月が変わります。
求人検索は3月にピークを迎える
Indeedが2022年1月〜2024年12月の検索データを分析した結果です(YORISOIが2026年版レポートとして公開)。
12月に減少し、1月から増加、3月にピークを迎える
3月がピークとなる職種は、事務、医療関連、ドライバー、歯科、営業、警備、不動産、運送と広範囲に及びます。
例外もあります。飲食は5月がピークで、6月も比較的高い水準です。業種によってサイクルが違います。
この動きは、企業側の年度サイクルと連動しています。4月入社に向けた採用が1〜3月に集中し、年度が明けると一段落する構造です。
しかし「求人が多い=有利」ではない
求人が増える時期は、求職者も増えます。
パーソルキャリアのdoda転職求人倍率を見ると、この関係が数字に出ています。
| 時点 | 転職求人倍率 | 背景 |
|---|---|---|
| 2026年6月 | 2.55倍 | 求人+16.6%、転職希望者+6.7%(前年同月比) |
| 2026年7月 | 2.71倍 | 前月比+0.16ポイント。7か月ぶりの高水準 |
7月に倍率が上がった理由は、報道によれば**「夏季休暇で転職活動が鈍った」**ためです。求人が急増したのではなく、分母である転職希望者が減った結果です。
倍率が上がる=求職者にとって競合が少ない状態を意味します。
求人の量と競合の少なさは逆方向に動く
この2つを重ねると、判断軸が見えてきます。
| 時期 | 求人の量 | 競合(他の求職者) | 求職者にとって |
|---|---|---|---|
| 1〜3月 | 多い | 多い | 選択肢は広いが競争も激しい |
| 4〜5月 | 減少 | 減少 | 中間 |
| 7〜8月 | 中 | 少ない(夏季休暇) | 競合が少ない |
| 9〜10月 | 増加(下期採用) | 増加 | 選択肢が広がる |
| 12月 | 少ない | 少ない | 動きが鈍い |
「求人が多い時期に動く」と「競合が少ない時期に動く」は、別の戦略です。
- 選択肢を最大化したい → 1〜3月、9〜10月
- 一つひとつの選考に集中したい → 7〜8月
業種で見ると全体平均は当てにならない
月次の統計を業種別に見ると、方向が分かれます。厚生労働省の令和8年7月分(新規求人・前年同月比)です。
| 増えた業種 | 減った業種 | ||
|---|---|---|---|
| 製造業 | +6.8% | 宿泊業・飲食サービス業 | -10.7% |
| サービス業(他に分類されないもの) | +5.6% | 卸売業・小売業 | -7.3% |
| 医療・福祉 | +1.3% | 生活関連サービス業・娯楽業 | -6.5% |
全体では前年同月比0.8%減ですが、製造業と宿泊・飲食では17.5ポイントの開きがあります。
自分が狙う業種の数字を見なければ、判断できません。「今年は求人が少ない」という全体の話は、応募先の業種には当てはまらない可能性があります。
月次データを読むときの注意
単月の数字で判断すると誤ります。ハローワークの新規求人は、2026年5月時点で前年同月比**-8.9%(13か月連続減)でしたが、6月には+3.1%**に転じました。
**振れ幅が大きいため、3か月移動平均か四半期の値で見るほうが安定します。**dodaが四半期平均(4〜6月で2.46倍)を併記しているのは、この理由からです。
実務上の結論
動く時期を選べる場合
1〜3月と9〜10月が、求人の選択肢が最も広い時期です。特に1〜3月は年度替わりの採用が集中します。
ただし競合も多いため、書類選考の通過率は下がる前提で考えてください。
急がない場合
7〜8月は競合が少ない時期です。求人数は中程度ですが、応募者が減るため、一件あたりの選考は丁寧に進む傾向があります。
いつでもよい場合
タイミングより準備のほうが影響が大きいというのが実務上の答えです。
- 担当した業務範囲の言語化
- 数字で語れる実績の整理
- 応募先業種の需給確認
これらが整っていない状態で「3月だから」と動いても、結果は変わりません。準備が整った時点が、その人にとっての最適な時期です。
在職中に動く場合
在職中の転職活動では、面接日程の調整が最大の障壁になります。別の調査では、面接日程が合わずに選考を辞退した人が29.9%、在職中に転職活動を行った人は78.6%でした。
繁忙期を避けて動くほうが、日程調整の面では現実的です。求人の季節性より、自分の業務の繁閑のほうが影響が大きい場合があります。
まとめ
- 求人検索は1月から増加し3月にピーク。飲食は5月がピークと業種で異なる
- **求人が多い時期は求職者も多い。**7月に転職求人倍率が2.71倍まで上がったのは、夏季休暇で希望者が減ったため
- 選択肢を最大化するなら1〜3月・9〜10月、競合を避けるなら7〜8月
- 業種別では方向が分かれる。7月は製造業+6.8%に対し宿泊・飲食-10.7%と17.5ポイントの開き
- 単月の前年同月比は振れが大きい。四半期または移動平均で見る
- タイミングより準備の影響が大きい。準備が整った時点が最適な時期
- 在職中なら、求人の季節性より自分の業務の繁閑を優先して考える
出典・参考資料
- Indeedの国内利用データ(2026年版レポート) (HRog(YORISOI))
- 7月の中途求人倍率2.71倍 (日本経済新聞(doda調べ))
- doda転職求人倍率レポート(2026年6月) (パーソルキャリア)
- 一般職業紹介状況(令和8年7月分)について (厚生労働省)
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